語源 (5): 言って得する「日本語の語源」

2011年05月28日

いちゃいちゃ

読解の授業で、早くタスクを終えた人のために提供している漫画には、
毎回いろいろな擬音語、擬態語が出てきます。
その中に「いちゃいちゃ」という言葉を見つけ気になりました。

多くの辞書には「いちゃいちゃ」はなく、「いちゃつく」のみが収録されていましたが、三省堂の「現代新国語辞典」(第二版)には両方収録されていたので紹介します。

いちゃいちゃ<副詞・動詞>[俗語]
男女がたわむれあうようす。いちゃつくようす。
いちゃつく<動詞>[俗語]
男と女がなれなれしく、ふざける。


現代語釈では、「男女、なれなれしい、戯れ、ふざける」がキーワードになりますが、次は語源的な観点からも見ていきましょう。
「いちゃ」がつく擬態語には、「いちゃいちゃ」「いちゃつく」の他にも、「いちゃ」「いちゃもん」「いちゃくちゃ」などがあります。
登場が古い順番にならべていくとまず、江戸時代の18世紀前期の浄瑠璃に「いちゃいちゃ」が登場します。
ただ、現代語釈とは異なり「ぐず。ぐずぐず争う」という意味で使われていました。
その後18世紀中期には、「いちゃつく」が登場します。男女が仲むつまじく戯れる様子を揶揄した表現だったようです。つまり、戯れている男女を見た人が、その様子を揶揄するときに使ったそうです。また、これには「淫戯」という漢字が当てられ、男女間の色事から、徐々に軽い戯れにも使われるようになったといわれています。
次いで、18世紀後期になると「いちゃ」が登場。純粋に言い争うという意味で使われたようです。

これを整理すると、現代語の「いちゃいちゃ」には、すでに、「ぐずぐず、言い争う」という意味は消え、「いちゃつく」に合流しています。
また、江戸時代には、男女の戯れに対し、それを見た人が揶揄するときの表現として使われていましたが、現代では、男女の戯れそのものの様子を表す擬態語となりました。
消えた「ぐずぐず、言い争う」という意味は「いちゃもん」という語に受け継がれているという見方もあるようです。
「いちゃ+文句を言う」が合わさった「いちゃもん」を紐解くと、「文句をぐずぐず言って、言い争う」という意味になります。
下の国語辞典収録の語釈と合わせても、大きなズレはありませんね。

いちゃもん<名詞>[俗語]
言いがかり。文句。

次に、擬態語の音から受けるイメージについて興味深い記述がありました。「擬音語擬態語辞典」において、山口仲美氏は、「イチャイチャ」などの「チャ」を繰り返す語には粘着質、しつこくくっつく、不快なほどまとわりついて離れないという共通性があると述べています。

「いちゃいちゃ」は、現代では
「電車の中で、カップルいちゃいちゃしている」という使われ方をしますが、語源的に見てみると、カップルの戯れを見た第三者が不快になったときに、
オレ、カップルがいちゃいちゃしていると感じる」というあらわし方になりますね。
posted by 語源な人 at 16:00| 東京 ☔| Comment(4) | TrackBack(0) | 語源 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月24日

髪(カミ)

髪の毛を切っている絵を出して、「かみを きります」という文を提示すると、
結構高い確率で、非漢字圏の学生さんが「あれっ?」って顔をします。
紙と髪が/kami/という同じ音だからなんでしょう。

「髪(カミ)」は、「上の毛」を略して「カミ」となったという説と
「身(ミ)」に生えた毛に、上の部分を表す頭(カ)がついて、
頭身毛(カミケ)となり、略して「カミ」となったという説があります。
いずれにしても、上の部分の毛ということには変わりはありません。

体毛には、他に脇毛とかスネ毛、眉毛などがあります。
これらは、「毛が生える部位+毛」という複合語になっています。
髪(カミ)の/kami/という音は他にも「上」「紙」「神」があり、
「髪」は他の語を区別するために、「髪の毛(カミノケ)」と言っています。

つまり、「髪」だと区別できないだろうから「髪の毛」と呼んでいるんですね。
だからヘアカットで「かみを きります」と言われたら
外国の学生さんが、「あれっ?」という顔をするのも無理はないのです。
このような場合は、「カミ」ではなく、「カミノケ」と言うべきでしょうかね。
わたしも 襟足が伸び放題なので、週末に「カミノケを きります」。


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2011年05月21日

丁髷(チョンマゲ)

先日、NHKで、昔の時代にタイムスリップして
人々の生活の様子を取材をしていくという番組を見ました。
その日は江戸時代の髪結いさん(現在の床屋)への突撃取材でした。
当時の武家社会では、髷が結えなくなったから
何か辞めなければならないという規則は特になかったようですが、
多くの武士は髷が結えないことで、
次の世代に譲って隠居していたそうです。
このように、「髷」は武士の生活に密接に関わっていたため
当時から増毛剤やエクステのような「つけ髪」が存在していたそうです。

みなさんもご存知のように現代になっても相撲界や芸能界において
この髪形は、「丁髷(チョンマゲ)」と呼ばれ受け継がれていますが、
なぜ髷に「チョン」がついているのでしょうか。

実は、前に折り返した髷の形が、繰り返しのときに使う「ゝ(チョン)」
という文字に似ていることから、「チョンマゲ」と呼ばれるように
なったといわれ、漢字の「丁」を当てたと言われています。
江戸時代では、額や前頭部を剃り上げ小さな髷を結うスタイルを
「チョンマゲ」といったようですが、明治時代以降は、
男性が髷を結う髪型の総称として言われるようになりました。

チョンマゲのチョンが、文字に似ていることが源だったとは・・・。
現代では、髪型ではありませんが、寝癖でボサボサ頭のことを
鳥の巣などのものに喩えて言うものありますよね。
でも、文字からというのは、聞いたことがないですね。
みなさんは、何かご存知ですか?

posted by 語源な人 at 00:41| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 語源 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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